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あ、やべ。地雷踏んだ。
言い直そうと思ったが、時すでに遅しで私はイザナくんに胸ぐらを掴まれた。
「お前に!! 何が分かる…! 突然奪われてどん底に落とされたこの気持ちが分かるか!? 血の繋がった家族はいない!! 家族と過ごした時間は偽りで!!」
『っ、分かるわけがない!!』
「っ…」
『私は、イザナくんのような経験はした事がないから…共感も、共有も出来ず、同情しかできない。まあイザナくんからしたら同情なんて要らないと思うし、しないけど……それに、イザナくん。家族と過ごした時間は偽りって言ったけど…それ本当?』
「は…」
『例え、血が繋がってなくともエマちゃんと過ごした時間も、真一郎さんと笑いあって過ごした時間は、全て偽りのものだったの?』
私がそう言うとイザナくんが掴んでいる手の力が緩くなる。
今からが攻めどきだな。
『私は、絶対にそうとは思わない。エマちゃんは君の話をする時、記憶がうろ覚えでも会いたそうにして、真一郎さんは心の底から過ごした時が楽しいと言うのが伝わってきた』
「っ!」
『世の中には血が繋がっていても不幸せな家庭があり、逆に血の繋がりが無くても幸せな家庭はある。
実の所、夫婦なんて紙一枚によって婚姻が成立しただけの所詮は赤の他人だし』
離婚すれば夫婦は他人に戻る。
世の中そういうものだ。
『まあ話を聞いて、血の繋がりにコンプレックスがあるのは分かった……でも、これだけは言うよ。真一郎さんの声にも耳を傾けてあげて』
「真一郎の…声に…?」
『そう。多分今日はイザナくんがバンバン言ったでしょ。一度だけ、ちゃんと向き合って本音を出し合ってみなよ。真一郎さんはイザナくんを否定するような人間じゃないから。私からは以上です』
私がそう言い終わると、イザナくんは再びブランコに座る。
私も先程イザナくんに掴まれた衝動で落ちた傘を拾ってさし始める。
「…なぁ、美月」
『んー?』
「俺…真一郎に…嫌われてないかな」
『それは限りなくゼロでしょ。真一郎さんは相手を受け止めることができる人だからね』
「………そうか」
イザナさんはそう言うと私を見て「ありがとう」と小さかったがお礼を言い、その場を去っていった。
さてと…私は左手にぶら下がっているコンビニの袋を見る。
揺すっても、ピノ特有の音が出ない。
『………私のピノォォォ!!』
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遊ちゃん_SKZ(プロフ) - 最高です、、更新楽しみにしてます!!!! (2023年3月2日 18時) (レス) @page36 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年1月30日 22時) (レス) @page36 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 更新ぜひしてもらえたらうれしいです!完結まで読みたいです! (2022年12月24日 7時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
ただのやベェ奴です - ウギャアァァァァア!更新停止!ウワァァ! (2022年10月10日 9時) (レス) @page36 id: 47436d7826 (このIDを非表示/違反報告)
Jjj(プロフ) - 遊馬雄里さん» 更新停止中なのですが、もうお話は続けていないのでしょうか…。とても面白くて見てて楽しいのでもっと見たいのです…。 (2022年6月8日 17時) (レス) @page36 id: 164c86cd11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雄里 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時:2021年9月29日 0時