失礼な、純愛だよ【鶴蝶】

＊＿2 ページ2

.









『もﾞうわがっでるの！！ かぐちょーぐんには会えないっで！！ だってもﾞう十九年ぐらいまえﾞだよ！？ ぜっだいにわずれられでるよぉ…ﾋｯｸ』


「あーはいはい。わかったからお水飲もうねー」





Aを居酒屋に誘ったのは失敗だったかな。
彼女の名は乙骨 A。私の友達で親友。

今日は仕事の鬱憤もあって、酒飲んでパーッとしよ！ も思いAを誘ったらご覧の有様。

しかも軽率に初恋の人はー？ とか聞いたのがダメだった。
そう言えばこの子、昔忘れられない人がいるって言ってたっけ。




「アンタ、まだそのカクチョーくん？ が好きなの？」


『悪いでずが！？！？』


「悪くない悪くない」


『未練がましいけどさ…ずっと、好きなんだもん……』


「……」




カクチョー、どんな漢字なのか分からないけどこの子が相当好きってことは良い奴なんだろう。
花垣とは違うもう一人の幼なじみ。

Aが小二の頃転校して以来音信不通。
それなのに今でも想ってる、か。




「ここまで来ると狂気ね」


『失礼な、純愛だよ』


「はいはい」


『むぅー…本気なのにぃ』


「わかったから。今日は思いっきり吐き出そうねー」


『うぃー』





店員さんにおつまみを頼んで、談笑していると店にあったテレビから不穏な内容のニュースが聞こえてきた。




「«つい先日爆発したビルですが、どうやら日本最大の犯罪組織「梵天」が関わっているようで───…»」


「うわ、おっかないわね。ここは何処のヨハネスブルグよ」


『黒の組織ぃ？』


「コナンじゃないよ」




でも、コナンくんが居ても可笑しくないほど今の日本はヤバい。
今話題の日本最大の犯罪組織「梵天」。
賭博・詐欺・売春・殺人、どんな犯罪も裏には梵天がいると言われているとんでもない組織だ。





『怖いねぇ…』


「アンタ、変なことに巻き込まれないでよー？」


『了解でありやす！ たいちょー』


「不安でしかない」







.

＊＿3→←＊＿1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す