後輩に貢がれた【乙骨憂太】

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Aさんが術式を発動すると、手には先程まで無かった銃、のようなものが握られている。
これがパンダくんの言っていたAさんの術式……刀以外にも銃も出せるんだ。



『雲散霧消』



引き金を引いた瞬間、呪霊が苦しみだして鼓膜が破れそうな程の奇声を上げる。
でもそれはすぐに収まり、一瞬にして呪霊は消え去った。




「え………あ、終わったんですか？」



『うん…あー、呪力めっちゃ使ったぁ…』



「Aさんの術式って、呪力を凄い使うんですか？」



『そう。私の術式を簡単に説明すると、私が課金して貢いで推してるキャラの能力が使える、って感じなんだけど呪力消費が半端なくて、こういう場合は一発で終われる様な能力を使うんだよ。
だからマジで世界破壊できるーみたいな能力使うと私が死ぬ』



「死！？」



『割とヤバい術式にはデメリットが付きものだよ』




中々チートな術式だけど、それなりにデメリットがあるんだ…。
狗巻君は喉を、Aさんは呪力をって感じなんだ。
確かに制限無しで使えたら、世界終わっちゃうな。



『さて、囚われてる非術師を助けてから焼肉行こーっと！ 私の奢りで！』



「わっ、悪いですよ…！」



『いーのいーの』




乙骨も助けるの手伝って、と言われ袋から刀を出した瞬間、Aさんの後ろに突如呪霊が現れた。
しかも今までのとは比にならない呪力反応。
ここからじゃ、間に合わない…！




「Aさん！！！！」



『っ！！！』




呪霊の一振により、Aさんはドォーン！ という音と共にトンネルの壁に打ち付けられた。





「Aさん！」



『っ……私のことは、構うな！！ 目の前の敵に集中しろ！』



「っはい！」




頭から血を流しているAさんを横目に、僕は目の前の呪霊に構える。
なんで、突然出てきたんだ…？ 原因はあの蜘蛛のような呪霊じゃなかったのか？


いや、今はこんなこと考えてる場合じゃない。
どうやって、呪霊を倒すか、だ。
刀に呪力を込めて呪霊を見据える。



「っ！」



【み°そばばばば】




走り出して、呪霊の攻撃を避けながらこちらも攻撃をする。
この数ヶ月で以前よりも動けるようになったため、敵の攻撃も見えるし、どう攻撃すればいいのかも分かる。


すると視界にAさんが入った。
血を流しながらも、術式を使っているのか浅葱色の羽織りを着て、右手に刀を持っている。





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