後輩に貢がれた【乙骨憂太】

20. ページ20

.






僕は素早く支度をして、Aさんが待っている場所に向かうと補助監督の新田さんと親しげに話しているAさんが目に入った。





「お、遅れてすみません…！」



『あ、乙骨久しぶり〜。私もさっき来たところだから全然大丈夫。ね、新田ちゃん』



「そうっスよ。どうせ五条さんに突然言われてだろうし、気にしてないっスよ」



「あ、ありがとうございます」




二人の優しさがジーンと来る。
そして僕とAさんは新田さんが運転する車に乗り込み、目的地へと向かう。

するとAさんからタブレット端末をもらう。
タブレット…？




「あの、これは？」



『今回の任務の内容が入ってるんだよ。乙骨初めて？』



「あ、はい。実戦は今回で三回目で…一回目は五条先生が、二回目は伊地知さんが伝えてくれたので」



『そっか。まあ一通り目を通しておいて。後でまた新田ちゃんから補足があるから』



「はい！」




取り敢えず、画面をスライドさせながら情報を見る。
場所はある県のトンネル。トンネルを歩行していた人が数名行方不明。その行方不明者の名簿。
呪霊に攫われた、または殺されたと推測……。





「呪霊ってトンネルにもいるんですか？」



『全ての、ってわけじゃないけど例えば心霊スポットとかあるでしょ？ 心霊スポット、っていうことでトンネルを通るために来る人もいる。よくYouTuberとかが行く感じの。
その中でも恐怖の感情、スポットでの話によって呪霊が発生するっていうのはよくある事だよ』



「なるほど……なら、本当に怖いって噂の心霊スポットって」



「一級相当の呪霊がウヨウヨしてるっスね」




ま、マジか……。
見える人からしたら、それはもう死地に行くようなものだ。
恐怖による概念によっても呪霊って生まれるんだ。




『このままそのトンネルに直行？』



「はいっス。あ、ちなみに呪霊は二級〜準一級相当っス」



『了解ー。へへっ、金ががっぽがっぽ入りますなぁ…』




……本当にお金が好きなんだな、Aさん。










.

21.→←19.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す