後輩に貢がれた【乙骨憂太】

18. ページ18

.







Aさんにジュース…と呼べるのか分からないものを買ったあと、寮で別れた。
そして僕は別れたあと、すぐに自室に入りドアに背中をつけてズルっと床に座った。






「…あー…僕のばか」





目を閉じて、少し前のことを思い出す。

丁度二年教室に通りかかった、というのは嘘で、もしかしたらAさんがまだいるかも、という気持ちで向かった。
教室に向かうと机の上に突っ伏して夕日に照らされて静かに眠っているAさんが目に入る。





「…Aさん」



『…、…、』





眠っているAさんの髪に優しく触れる。
いつ見ても綺麗だな…なんて意中の人を見ながら思う。


Aさんは確かにお金に関して特殊な人だし、推しへの熱が凄い。
でも、そんなところもこの人の魅力だ。


ここ最近、出来るだけAさんが僕のことを見てくれるよう努力した。
お金の件に関しては失敗だったけど…それでも頑張ったと思う。


里香ちゃん以来、いつだったかは忘れ…いや、いつの間にか初めて好きになった人で…不器用だったかもしれないけど、Aさんをエスコートしたり、Aさんに似合うかも、と言われて髪型だって変えてみた。




「……Aさんは、どうしたら僕のことを見てくれますか…？」




あなたの笑う姿が好きです。
強くて、優しくて、仲間思いなところが好きです。

好きなんです。
どうしようもなく、好きなんです。






__愛ほど歪んだ呪いはないよ__





五条先生の言葉を思い出す。
里香ちゃんの時も、そうだったけど…それでも僕は、




「…──好きです、Aさん」












.

19.→←17.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す