枝垂れ桜 (ページ2)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:1,167 hit

・ページ2

枝垂れ桜を見ながら談笑して、サンドイッチも食べ進めた頃、しゅんさんが口を開いた

「あのさA」
「はい？」
「今好きな人っておるん？」
「え」

急な恋愛関連の話に私は戸惑った
私は今目の前にいる彼に恋心を抱いていたから、そんな事本人に言える訳もなく少し濁す

「いますよ、一応」
「えっおるんやどんな人なん」
「んー…優しくて面白くて」
「おん」
「漫才を精一杯頑張ってるし生きるのも頑張ってる人ですかね」

少し面白がって彼っぽいことを言ってみる

「おー…えっ、芸人ってこと？」
「はい」
「へ〜、漫才を精一杯頑張ってて生きてるのも頑張ってる人なぁ、誰やろ…まさか京極とか？」
「違います、そういうしゅんさんは好きな人いないんですか？」
「えいや、まぁおるよ」
「…どんな人ですか？」
「一般の人よ、可愛くて優しいんよ。でも絶対俺よりお似合いの人がおるねん」
「それは決めつけすぎでしょ」
「ほんまー？」

沢山話していたのに少し間があった気がした

「Aちょっとこっち向いてや」
「急になんですか」

言われた通り私はしゅんさんの方を向いた瞬間、視界が覆われ温もりを感じる

「俺Aの事めっちゃ好きやねん、ずっと前から」

あまりに突然な事に私は唖然とする

「…私も好きです」
「え、ほんま？」
「ほんとですよ」
「告白って成功するとめっちゃ嬉しいんやな」
「なんですかそれ」
「じゃあこれから俺ら恋人ってことやんな？」
「…そういう事になりますね」
「ほんまに嬉しいどないしよ」

そう言った彼の抱きしめる力は強くなった

「しゅんさん痛いですって」
「ごめんごめん」

ふわっと手が解かれ肌寒い3月下旬のはずなのに春の風が暖かい、枝垂れ桜も風に揺られ乱れ桜のように花弁が舞った。まるで祝福ムードのように

「来た時も言いましたけどほんと綺麗ですね」
「ほんまやなぁ」

春の風に揺られながら、私たちはまた談笑を始めた。