枝垂れ桜 ページ1
春も下旬になった頃、しゅんさんから「一緒に花見行かん？、いい花見スポット知ってんねん。」とお誘いをもらった
花見なんてお洒落なもの。一緒に行くのが私なんかで本当にいいのかなと思いつつ待ち合わせ場所に行くともう彼らしき人が待っているのが見え、こちらに気がついたのか手を振ってきた
「ごめんなさい遅くなって待たせちゃいました？」
「全然待ってへんよ、俺も来たばっかやし。早速行こか」
そう言ってしゅんさんはタクシーを捕まえてくれた。タクシーに乗り、私はこんな事を口にした
「花見なんて家族としか行ったことないです」
「俺も家族としかないよ、いうてちっちゃい頃やけど」
「なんで今年は家族じゃなくて私なんですか？」
「いや、まぁそれは。な？色々あんねん」
少し顔を背けるしゅんさんに疑問を抱きながらたわいも無い会話を続けていると目的地につき、お金を払おうと財布を出す
「出さんでええよ、俺が誘ったし」
「え悪いですよ出しますって」
「ええって、出させてや」
「…じゃあお言葉に甘えて」
申し訳なさもありつつしゅんさんの優しさに甘え財布をしまい、タクシーを出ると辺り一面に枝垂れ桜が広がった。
「…綺麗」
「…うっわめっちゃ綺麗やなぁ」
「よくこんな場所知ってましたね」
「昔なんかで来てなぁ、めっちゃ思い出に残っててん」
「へぇ〜、あっそういえば」
私はとある事を思い出し、持ってきていた保冷バッグからある物を出した
「花見って聞いてサンドイッチ作って来たんですけど、食べます？」
「え、まじで！食べる食べる、あのベンチででも食べよや」
そう言ってベンチの方に歩いていくしゅんさんに私はついていった
2人でベンチに座りサンドイッチが入っている箱を開ける
「うわめっちゃうまそうやん、嬉しいわ」
にこにこしてサンドイッチを取り見つめるしゅんさんには思わず口角が上がってしまった
「いただきます」
「いたまだきます〜」
「まだそれ言ってたんですか」
「そりゃ毎回言うてるよ」
そんな事を言いながらお互い手に持ったサンドイッチを頬張る
「うっまぁ…、ほんまよう作れるよなこんなん」
「ふふ良かったです、サンドイッチなんて簡単ですよ」
「いやいやほんまうまいわ」
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作者名：て | 作成日時：2024年3月21日 1時
