この手を【赤】 (ページ5)

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重「、あぇ」
びっくりしすぎて変な声出てもうた、
机の上にノート広げてヘッドホンしながら寝てる椎奈さんがおったから。

近ずいて椎奈さんが寝てる前の席に座る。起きる気配はなさそう。

重「、、、A」
話しかけることも出来てないくせに呼んだ名前。
返事は帰ってくることも無くて安心したような悲しいような感情になる。

こんな遅い時間まで何してたんやろって机の上のノートを見る。そこには問題から答えの過程を見ても何言っとるかわからん数学の計算が書いてあった。

どおりで頭ええわけや。

才能やと思ってた頭の良さは才能じゃなかったこと

誰も知らない陰の努力をしれたこと

普段は十全十美な人の気の抜けた寝顔がこんなにも可愛いということ。

こんなこと俺しか知らんって考えると愛おしさが湧き出していく、増していく、溢れていく。

どうしても進展が欲しくて何か出来ることがないか探す。
そういえば部活の前に高校の近くのコンビニでおかしかったんやっけと思ってリュックを漁る。

イチゴ味のグミ。俺が一番好きなやつ。

付箋に文字書いてグミに貼って帰る
"おつかれ、頑張りすぎんなよ"

前に愛しい前髪を少し分けておでこに触れるだけのキスをした。

どうかバレませんように、

嘘、どうか好きな気持ちはバレてくれますように

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