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浴衣なんて持ってないから神ちゃんに借りて、ついでに髪の毛もセットしてもらう。普段前髪なんてあげへんからスースーするおでこに少しの違和感。
待ち合わせ場所でAを待つ。落ち着かへんくてソワソワしてまう。
「大毅くん、おまたせ!」
呼ばれた方向を見ると淡い水色の浴衣を着たAが手を振っていた。髪の毛お団子にしてる。可愛い。
重「全然待ってへんで?」
「よかった、浴衣似合ってるね。前髪もあげてるのかっこいい。」
小さく微笑んで言われた。俺が先に言いたかったのに。
重「Aも似合ってる」
はよ行こって照れてんのがバレへんように手を引いた。
くさいことすんなよな自分。
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花火大会の会場には出店がいっぱいあって食欲をそそられる。花火が始まるまでりんご飴とかたこ焼きとかを買って食べる。
「人多いね、暑くなってきた」
Aは扇子をパタパタしながら言った。少し汗ばんだうなじにドキドキする。
「今日ね、すっごい楽しみにしてたの。
大毅くんと花火見たかったから」
重「
俺も、Aと見たかった」
一発目の花火が空高く上がった。
目をキラキラさせながら花火を見つめるAは少しあどけない顔をしている。くるんと上がったまつげが愛おしい。
重「、、、好き」
花火の音でかき消された俺の声は届かない。
でもまだ届かなくていい。この時間がまだ続けばいい。
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作者名:茉莉花 | 作成日時:2024年2月1日 23時