公式に当てはめて (ページ6)

今日:2 hit、昨日:10 hit、合計:22,042 hit

- ページ6

河井side

そう、女よけやった。

彼女がいないと、目をギラつかせた女の人が沢山寄ってくる。

正直めんどくさい。
だから、直接告白してきてくれたあの子と付き合った。

最初は女なんてみんな一緒やと思ってた。

でも、あの子と喋るとそんな気持ちが薄れていった。

俺の中であの子がどんどん特別になっていった。

もちろん、今更、恋とかそんな感情に動かされるなんて想定してなくてわけがわからんくなっとる。

河井「それでな、ちょっと聞いて欲しいことがあるねん。」

稲田「ええですよ。」

河井「俺な、あいつのこと…「A？なにしてんの？」

障子の向こうから聞きなれた名前が聞こえた。

A？

『ちょっと…帰ります…』

いつもの元気な声量も雰囲気も全く感じられないあの子の声が聞こえた。

稲田「河井さん？」

俺は追いかけなかった。

河井「やっぱり、いいや。大丈夫。」

稲田「え？聞いて欲しかったんやないんですか？」

河井「おん。終わったから。」

・

・

・

何日か経って、あれ以来Aと連絡も繋がらない。

劇場でも会わない。

稲田が聞いた話によると、Aは担当場所を移動したらしい。

稲田「…別れちゃったんですか？」

河井「どうやろなぁ…」

稲田「でも河井さん、スマホ片時も離そうとしないじゃないですか。」

痛いとこつかれた。

気づかないで欲しかった。

稲田から言われるともう認めてしまう気がして。

稲田「待ってるんでしょ？あの子からの連絡。」

・

・

・

稲田「河井さんはあの子のことが好きなんですよ。」