第四話 とある少年Tの喜び ページ6
＊＊
雄英に、受かった。
この事実を真っ先に報せる相手はもう既に決めていた。
メッセージアプリに『今から会わないか』と打ち込み、返事を待つ。数分後に、既読が付き、まもなく『いいよ』と返事が返ってきた。
最近買った紺色のコートを羽織って、靴を履く。姉にすぐ帰ってくると伝えて、玄関を開ける。
近所の狭い公園。俺とAが夏によくアイスを食べていたベンチに彼女はちょこんと座っていた。
俺に気付いたAが顔を上げる。自分の顔が少しゆるむのが分かった。
「遅いよ、轟君」
「すまねぇ。…………俺、受かったぞ。福沢」
Aが優しく微笑む。まるでその結果が分かっていたかのように。
「おめでとう、轟君」
「ああ。…………福沢は、どうだったんだ？」
「……なんと、受かったよ」
「そうか」
相変わらず素っ気ない、とAが苦笑する。そんなAも相変わらず冷静で。俺はつい笑ってしまった。
「……と、轟君が、嗤った！」
「んな、クラ〇が立ったみてぇに……」
ク、ク〇ラが立ったって……っ、轟君……っ！ そのワードがツボに入ったらしいAは数分間、涙目になりながら笑っていた。
「まぁ、何はともあれお互い受かれて善かったね」
「そうだな……。一緒に行ける」
「え、あれそういう意味だったの？」
「…………さぁ」
「何で其処ではぐらかす？」
まだまだ寒い冬の空の下。こんな時間がいつまでも続けば良いのにと願った。
第五話 とある幼馴染み達の期待→←第三話 とある少年Sの独白
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亞亭(プロフ) - ぐだ子さん» コメントありがとうございます。私自身が乱歩さん推しなので、結構多目に出てくる予定です(笑)。これからも応援よろしくお願いいたします。 (2019年1月26日 20時) (
レス) id: 6c649d127e (このIDを非表示/違反報告)
ぐだ子 - 乱歩さああああああ！！！← すごく面白かったです！！これからも頑張ってください！！ (2019年1月8日 19時) (レス) id: 9d73ceb014 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：亞亭 | 作成日時：2019年1月4日 21時
