第九話 入学早々波乱の予感 ページ11
＊
ひら、と桜の花弁が舞い、私の髪に引っ掛かった。勿体無いが詰まんで地面に落とす。それを見た轟君が呟いた。
「……奇麗、だな」
「嗚呼、春だよねぇ」
そんな呑気な会話をしながら登校する。此れからどんな事が有るかも知らないで。
「お、福沢。同じクラスだぞ」
「……善かったぁ。此れでまた一年以上は一緒に居られる」
少なくとも、一人ぼっちではないことにホッと溜め息を吐く。轟が此方を見て不思議そうな顔をした。
「……お前は、人見知りじゃねぇだろ」
「否、案外人と話すのは得意じゃないんだよ……」
初めて知ったと云う轟君。否、君三年間私と同じ学級だったじゃないか。
「お、あったぞ。A組」
「本当だ……。扉、大きいね」
「バリアフリーってやつだろ」
ガラッと轟君が扉を開ける。私も一寸緊張しながら着いていく。
学級の席の半数以上はもう座っていた。其処には、彼の姿も居た。紅い瞳が私を射ぬく。
彼は自分の席から立ち上がると、ツカツカと此方に歩いてきた。
「…………よォ。受かったんだな」
「うん、久し振り。勝己。……出久は如何したの？」
「…………知らね。落ちてんじゃね」
「滅多な事云わないでよ」
思わず苦笑する。けど、彼が受かっている可能性は〇に近いだろう。よっぽど急な『変化』でもなければ。
「……福沢。席、座っといた方がいいんじゃねぇか。…………お前も」
「…………あ゛？ んだよ、お前」
喧嘩腰の勝己を抑え、何とか席に座る。勝己は私の前で、私の後ろは未だ空いている。どんな人が来るのだろう？ 時間的にもうそろそろ来ないと不味いだろうが──。
そんな事を考えたいたら、机に足を掛けて座っていた勝己と、眼鏡を掛けた真面目そうな少年が口論を始めた。
相変わらず、勝己口悪いなぁ……。漫才の様なやりとりに少し口を緩める。
そんな時、扉の開く音がした。反射的にそちらの方へ目線を移す。
緑色のモジャモジャの癖っ毛。大きな丸い瞳。顔の所々にあるソバカス。昔と変わらないその姿に何だか安心感を覚える。
彼も私に気付いたのか、目を見開いた後、少しだけ微笑んだ。
勝己の所に居た眼鏡君──飯田君と云っていた、が出久の処へ駆け寄る。後から来た茶髪の少女も出久と仲善さげに話していた。だが。
その和やかな雰囲気の中に、異質なものが飛び込んできた。
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」
「ここは……ヒーロー科だぞ」
第十話 雄英教育論 壱→←第八話 とある迷い犬ヒーロー達の宴 参
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亞亭(プロフ) - ぐだ子さん» コメントありがとうございます。私自身が乱歩さん推しなので、結構多目に出てくる予定です(笑)。これからも応援よろしくお願いいたします。 (2019年1月26日 20時) (
レス) id: 6c649d127e (このIDを非表示/違反報告)
ぐだ子 - 乱歩さああああああ！！！← すごく面白かったです！！これからも頑張ってください！！ (2019年1月8日 19時) (レス) id: 9d73ceb014 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亞亭 | 作成日時：2019年1月4日 21時
