舞台を下りたら、、、Ⅱ (ページ1)

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君のやさしさ Kawai, Yuzuru ページ1

１年半前、私のほうからゆずるに別れを告げた。
付き合って5年目。お互いいい歳で、結婚や将来のことを考えていた。

その当時、私は海外赴任中でイギリスと大阪の遠距離恋愛。
電話やLINEで気持ちを確かめ合って、たまの帰国を楽しみにお互い仕事を頑張った。平坦な5年間ではなかったけどゆずると過ごした日々は私にとって特別で今でもゆずるのことを想っている。

1年半前、初めての帰国だった。待ち望んでいた再会。大好きなゆずるに直接触れられることがうれしかった。

でも、私がいない間にゆずるは変わってて、出口から出て見たゆずるはたくさんの女の子のファンに囲まれていた。

ゆずる「実はそろそろ東京行こうと思ってんねん」

再会して告げられたこの言葉。

うれしくて衝撃的でゆずるの表情もその風景もはっきり覚えている。

どんどん売れていくゆずる。人気商売のゆずるの重りになりたくない。
ゆずるが抱える相方やファンを一緒に抱える覚悟が私にはなかった。

このときから私の中で何かが動き始めたのだと思う。

Yuzuru side ,,,

友達の紹介で出会って付き合ったA。俺より7つも年下やのに自分のやりたい仕事をバリバリやって自立してて海外まで行って。いつも俺の前を走っとった。

あれから1年半。

「別れたい。私に遠距離はむいてなかってん。」

そう言って振ったAが俺より泣いて、俺の前から去っていった。

いつもAは俺を置いて行ってしまう。

「なに言うてんねん」
「俺は別れたくない」
「これからもずっと愛してる」

伝えなければいけない言葉はたくさんあるのに情けない弱い俺は何一つ伝えることができず、搭乗口に消えていくAを呆然としたまま眺めていた。

1年半たってもAの優しさもぬくもりも安心感も思い出も何一つ消えることなく残って俺を苦しめる。毎日のように別れた日を思い出して自分を責める。

こんなことになるなら最初から出会わなければよかったとすら思う。

胸の痛みをごまかすようにがむしゃらに仕事をした。

今頃Aはどこで笑ってるんやろうな。

Your side ,,,

2年間の海外赴任を終えて日本に帰国することになった。
次は東京本社に勤務することになる。

濃密すぎた2年間。がむしゃらに働いた。
つらいこともたくさんあったけど大きく成長できた2年間だったと思う。

日本に帰ったら東京に家を探して、たくさん手続きをしなければいけない。

しみじみする間もないくらい。むしろありがたいけど。