君以上の人なんて ページ4
め ysn
「何でわかってくれんの？」
目の前でぷりぷり怒っているのは彼氏の裕介。喧嘩の原因は彼の好きな女性芸人への対応に私の堪忍袋の尾が切れた事。
彼がSNSを見てニヤけている顔を見るのは彼女として、苦痛で仕方ない。なんせ私はギャルじゃないから。
「そんなに好きなら荒川さんと付き合えばいいじゃん」
「何言ってんの、荒川さんは推しだから！」
「さっきからずっと顔にやけてんの！悪かったね、ギャルじゃなくて！」
肩を並べて、お互い好きなことをしていた。私が先に飽きて彼のスマホを覗き見してしまったのだ。そもそも覗かなければよかったのかもしれないけど、やけに熱心にスマホと向き合っている彼に何を見ているのか興味が湧いてしまったのでつい見てしまった。
見ていたのは例の女性芸人のSNS。「飽きないね」とかけた私の嫌味を含んだ言葉に「そりゃあそうでしょ」と返され言い合いになってしまった。
「AはAじゃん、ギャルがどうとか関係ないんだって！」
「そんなの知らない！」
そんな言い合いが続いて、冒頭の彼の言葉に戻る。
わかりたい気持ちはもちろんある、彼のことが好きだから。でも推しであろうと好きは好きで、私以外に好きが向いてるじゃない。
「じゃあ、私が原さんのこと推しても許してくれるの？」
「何で原が出てくんの」
「竹内さんでも住岡さんでもいい、推してもゆるしてくれるの？2人きりの時に、推しの画像みてにやにやしてても裕介は許してくれるんだよね？」
「それは、」
私の言葉に何と返そうか考えているようだった。
「私は、2人の時に他の女性のことなんて考えてほしくない、裕介の彼女は私でしょ？」
「好きな気持ちは尊重したいよ、でも、2人の時によそ見しないで」
我ながらめんどくさい女だと、唇を噛むと 黙っていた彼に腕を引かれて抱きしめられた。わかっている、彼が本当に好きなのは私で、こういう事を彼がしてくれるのも私だけなのに。不安で仕方ない。
「ごめん、Aの気持ち、全然考えれてなかった」
「でも聞いて欲しい、俺が好きなのはAだけだし、A以上の人なんておらんから」
「わたしもすき、嫌なこと言ってごめんね」
「俺もごめん」
謝罪の言葉が震えていて、彼の方を見ると泣きそうになっていたので思わず笑ってしまった。泣かせてごめんね。
「泣かないでよ」
「いや、本当に申し訳なくて」
．
続く
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作者名：神楽 | 作成日時：2024年2月15日 22時
