釣り合わないなんて ページ2
ナ nkn
「Aさんのこと、前から好きで」
中野くんは、何でも出来る。頭も良くて、面白い。
そんな彼が私を好きだと言っている。ドッキリだろうか。
きょろきょろと、周りを見渡してもカメラを回している人物は見当たらない。
「私で、本当にあってる？」
首を傾げて自分を指すと困った様に中野くんは笑った。
「好きな人、間違えるわけないじゃないですか。ちゃんと合ってます」
「なんで私？私、とてもじゃないけど中野くんには釣り合わないよ」
中野くんが、何も持っていない私のことを好きだなんて嘘だと思った。本当に。だからそう、伝えたのだが顔を曇らせ口角を下げてしまった中野くん。
「Aさんは、優しくて、人の気持ちに寄り添える素敵な人だと思います。だから、そんなこと言わないでください」
「もし、振るのが難しい、とかならごめんなさいだけでいいんで。でも、釣り合わないとかそういうことは言わないでほしい」
言葉を選んでくれているのか、ゆっくりと話し出した彼の言葉を逃さない様に聞く。彼の言葉は真っ直ぐで、心に刺さる。
「え、まって、何で泣いて」
「違う、ごめん嬉しかったの」
ポロポロと溢れ出した雫に、彼が私の前でおろおろしている。
泣いているのに、笑ってしまう。
「私も、中野くんの事好きで、でも私は中野くんみたいにならないから、無理かなって諦めてて」
「だから、中野くんが素敵な人って言ってくれて嬉しいの」
泣いたり笑ったり忙しい私の言葉を優しく頷きながら聞いてくれる中野くん。そっと私の手を取って、握りしめてくれた。
「Aさん、好きです。付き合って貰えませんか」
「はい、ぜひ、私も好きです」
「あの時のゆうくん、本当にかっこよかった」
「え!いまは!?」
．
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作者名：神楽 | 作成日時：2024年2月15日 22時
