最高峰《短編集》 (ページ6)

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… 弱がり fkr ページ6

fkr →｢｣貴方 →『』

｢撮影始めますよ～｣

俺の一言ではーい ″ と皆が集まってくる

ボタンの準備とホワイトボードとマジックペン

カメラの位置今日の編集と企画のチェック

なんだか最近ぼーっとすることが多くなった

｢…｣

皆の楽しそうな表情いつもは俺も楽しくなるけど

今日は体調不良の方が格上みたいだ

｢あ、…れ、｣

目の前がグラグラして色々な声がだんだん遠…

．
『…あ！』

｢ん…あれ、…俺｣

福良さんはそう呟いて身体を起こそうとする

『だめです！まだ寝てないと、』

｢いや、…撮影は？｣

こんな時まで撮影や仕事のことを気にする

｢無事終わりましたよ。だから寝てください｣

｢迷惑かけたね、ごめんね｣

少し切なそうな表情で謝る
何だか胸がキュッとなった

｢…って、今23時！？Aちゃん終電…｣

『福良さんが倒れてるのに帰れないですよ、』

｢本当にごめんね、…寝てても良かったのに…｣

『私が寝てる間に福良さん絶対仕事しますよね？？？？駄目です』

｢…｣

『可愛い顔しても駄目です』

｢(._.`)｣

．
｢いやー…本当に情けないなあ、｣

思わず口からポロっと弱音が出る

今までこんなことは無かった

でも心のどこかで不安だった
プロデューサーとして上手くやれてるかどうかなんて

『…福良さん？』

パソコンと向き合っていた彼女が俺を不安そうに
見つめながら名前を呼ぶものだからハッと我に返った

｢…あ、ごめん。独り言｣

そう言おうとした時

『あの、！』

｢…え、｣

『福良さんは情けなくなんかないです！』

．
自分でも驚くほどの声量

｢自分は情けない｣って言った福良さんの表情が
悲しそうで消えちゃいそうだったから

福良さんは少し驚いてから
いつものようにえへへっと笑う

『…？！なんで笑うんですか！』

｢声大きすぎるでしょ、笑｣

『あ、…ごめんなさい』

小さくなっていると福良さんはベッドから出て
私の隣に座る

｢冗談だよ、俺は大丈夫だし｣

『え！？冗談？！…でも良かったです』

｢まだまだ現役だからね、｣

そう言って福良さんはまた笑っていた

．
冗談なんかじゃない、
あの瞬間だけ弱くなっていたのは事実で

でも『弱くても大丈夫だよ』って
言ってくれているようだった

｢Aちゃんのこと好きだなあ、｣

『はい…ん？ん？！？！ええ？！？』

｢声大きいってば、笑｣

今度は冗談なんかじゃないよ、

俺の弱がり受け止めてくれてありがとう