ノックの音 (ページ3)

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｢｣ →kwkm 『』→貴方

･

心の声『……どうしよう……心臓でそう ……』

オフィスで男の人と2人きり……よくある恋愛シチュレーション……漫画の中だけだと思ってた……

時計の針は夜の九時を刺して沈黙が流れる中に
時計の針の音とパソコンのタイピング音だけが
響いている。

するとついに川上さんが口を開いて
私に言った。

｢好きな食べ物……なんかある？｣

『……は？』

･

とっさに聞いてしまった
初めて交した第一声が｢好きな食べ物｣

俺は今この瞬間めちゃくちゃ後悔している。

彼女の『……は？』
という反応から ″うわ何言ってるんやろ俺という
思考が身体を支配する。

変な奴と思われると思って直ぐに

｢……やっぱなんもない｣と言おうとしたら

『……お、おお、お母さんの、……に、肉じゃが……
です…… っ !』

･

とっさに出てしまった
『……は？』

は？って自分の意味わからない反応がとても恥ずかしかったしなんで聞かれたのかも分からないししかも突然聞かれたわさななさやなさやなさやな(※混乱中)

な、何か答えなきゃ、と思った時
川上さんが｢なんでもない｣と言いかけたのと同時に

『……お、おお、お母さんの、……に、肉じゃが……
です…… っ !』

｢……っふ｣

･

｢お母さんの肉じゃが好きなん、？｣

川上さんは優しくはにかんでいる。
何故かその時不思議と怖いと思わなかった。
だけど目を合わせられなかった。

『…あ、はい … 私が受験の時に体がぬくもるようにっていつも作ってくれたんです。母は受験生の私のこと支えてくれていて…本当に感謝しきれないです、』

再び続く沈黙。余計な事まで喋りすぎたかな…

ちらっと川上さんの方をみると
川上さんがまた口を開いた

｢お母さん想いでええな、｣

その時その瞬間心臓の鼓動が早くなった。
褒められて嬉しいとかそういうんじゃなくて、
ただ川上さんが私に向けた笑顔は眩しくて

･

彼女が俺の方を見てお母さんの肉じゃが ″ と
少し照れながら緊張した様子で答えた時
初めて女性に対して可愛い ″ という感情が芽生えた

ほんの少しだけ会話しただけ
言葉を交わしただけ

もっと知りたい仲良くなりたい

｢……今日何時までおる？｣

勇気をだして聞いてみた。

私は
恋に落ちた。
俺は