さがしびと【strm】 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:21,425 hit

・ページ2

『ちゃんぷとれた〜
　昇格〜っ！よし！！』

▶ ナイスー！
▶ やっぱこの女おかしい…
▶ なんでそんなに強いの？？
▶ ダイヤ昇格おめでとう！！

キリの良くなったところで時計を見れば、
配信を初めて2時間以上経っている。
集中していて気づかなかった。

そろそろかなぁ

そう思ってdiscordを見るとやっぱり通知が来ていた。

もう配信終わらなきゃ

『ふふ、みんな今日も見てくれてありがと〜
　キリいいし時間だし今日はこの辺で終わります！』

▶ もうそんな時間か…
▶ お疲れ様〜！
▶ まだ続けん？

『じゃあ、ぱるでした〜、おやすみ！』

▶ おやすみ、いい夢見てね
▶ ゆっくり休んで
▶ お仕事頑張れ！

あまり待たせる訳にはいかない、と思い少し早めに配信を閉じる。
画面は止まったはずなのに、それでも温かいコメントが流れ続けていた。

とりあえず、返信しなきゃ

そう思いスマホでdiscordを開く。
そこには予想通りいつもの人から

「えぺしよ〜」

とだけ来ていた。
たった4文字で全て伝わるんだから便利な世の中である。

先程まで使っていたアカウントから彼女たちとやるためだけのサブ垢に切り替える。
私みたいな底辺配信者を彼女が知っているとは思わないが、念の為だ。
リスナーだったりしたら大変だし。

そうこうしている内に彼女の準備が整ったのか着信音がなる。
普段は聞かないdiscord特有の音。
緑のボタンを押すと画面は通話中へと変わり…

「A、やほ〜」

彼女の柔らかい、どこか気の抜けた声が耳から入ってくる。
いつの間にかAPEXの方にも入ってきているのだから仕事が早い。

咳払い一つ。
喉の調子を整えてミュートを解除する。
小さく息を吸って私は彼女の名前を読んだ。

『すみれちゃん(すーちゃん)、やっほ〜！』