ここ何処だよ((3【名探偵コナン】『降谷零/安室透』 (ページ10)

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蘭が2階の毛利探偵事務所のドアを開けると、事務机に置かれたテレビからニュースキャスターの声が聞こえてきた。

キャスター『今日未明、首都高速道路で走行中の車が高架下の倉庫街に落下し、爆発、炎上する事故がありました。
この事故による死傷者は奇跡的にありませんでしたが、車の運転手は現場から立ち去った模様で、警察が行方を追っています。
どのような状況で車が転落したのか、詳しいことは分かっておりませんが…』

事務机に足を投げ出している小五郎を見て、蘭はムッと顔をしかめた。

小五郎『ヨーコちゃーん…むにゃむにゃ…』

大ファンの人気歌手、沖野ヨーコの夢を見ているのだろう。

大いびきをかいていた小五郎が突然ニヤニヤしながら、その名前を呟いた。

全くー呆れた蘭は応接セットのテーブルに置かれたリモコンを取り、テレビに向かって歩いた。

テレビのボリュームを下げ、小五郎の背後に回る。

蘭『ちょっと、お父さん！！』

耳元で大声を出すと、小五郎は「んがっ！！」と飛び起きて椅子から落ちそうになった。

蘭『仕事サボっていつまで寝てるのよ！！』

小五郎『うるせーな！探偵には頭脳的休息が必要なんだよ！！』

椅子から落ちそうになった小五郎がとっさに背もたれにしがみつくと、椅子のキャスターが動き出し、机にかけていた脚が伸びてプルプルと震える。

蘭『つまり飲みすぎて頭が痛いってワケね』

小五郎『な…何で…いや、誰もんな事言ってねーだ…ろっ！！』

机から脚が離れてバタン！と落ちた小五郎を、蘭は冷ややかに見下ろしながら、「これっ。コナン君から」と携帯電話の画面を突きつけた。

蘭『記憶喪失の人を保護したから、警察に届けてくれって。
取り敢えず高木刑事に言っといたけど、お父さんも協力してあげて』

画面に表示された女性の写真を見て、小五郎は頬をポッと赤らめた。

小五郎『う、美しい…』

蘭『ちょっとお父さん、聞いてるの？』

小五郎『この美しいレディは今いずこに！？』

ガバっと勢いよく立ち上がった小五郎は、蘭の携帯電話を力強く握り締めた。

蘭『と、東都水族館だって』

小五郎『分かった！』

返事を聞くやいなや、小五郎は机を「トウ！」と乗り越えてドアに向かった。

蘭『ちょっとお父さん！』

小五郎『その依頼、この名探偵毛利小五郎が引き受けた！』

蘭『いや、依頼じゃなくて…』

バタン！と勢いよく閉まったドアを見て、蘭は「もー！」と頬を膨らませた。