ここ何処だよ((3【名探偵コナン】『降谷零/安室透』 (ページ37)

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イギリス・ロンドンー。

ウェストミンスター宮殿の一角にある大時計台〈ビックベン〉が十九時を告げる鐘を鳴らし、留まっていた鳩たちが一斉に飛び立った。

通信機を耳に掛けた黒いスーツ姿の男が、観光客でごった返すトラファルガー広場を突っ切った。

国会議事堂へと繋がるホワイトホールと呼ばれる通りに出ると、バス停に停車していた二階建てバスに乗り込む。

バスはすぐに扉が閉まって走り出した。

男は一階席には目もくれずに二階へと上がった。

二階席の前方は客で埋まっていたが、後方は誰もいない。

男は最後列の席に座り、耳に掛けた通信機のボタンを押した。

スタウト『こちらスタウト。バスに乗ったぞ。』

ジン『そのまま指示を待て』

スタウト『了解』

男が息をつくと、やがてバスはゆっくりと左折した。

右斜め前方にビックベンが見えてくる。

その時ービックベンの巨大な文字盤の上から1発の銃弾が放たれた。

バスに向かって真っ直ぐ突き進み、スタウトのこめかみを貫く。

スタウトは声も上げずゆっくりと前へ倒れた。

前方に座った客がドサッと倒れ込む音に気づいて振り返り、悲鳴を上げた。

客『うわあ！』『おい！大丈夫か！？』『人が倒れたぞ！運転手に伝えてくれ！』

ビックベンの時計の上部にある鐘の前で、サングラスに帽子を被った男がライフル銃を構えていた。

黒ずくめの組織の凄腕スナイパー、コルンだ。

コルンはライフル銃のスコープを覗き、二階建てバスで倒れたスタウトを確認した。

コルン『スタウト…俺、信じてた…残念…』

そう呟くとコルンはライフルを下ろし、耳に掛けた通信機に手を当てる。

コルン『スタウト…死んだ』

ベルモット『OK。すぐに戻って』

ベルモットの声を聞いたコルンは｢分かった｣と言って、巨大な鐘の陰に消えた。