ここ何処だよ((3【名探偵コナン】『降谷零/安室透』 (ページ30)

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医務室が入っている建物の前で、ベルモットは扉に背を向けて立っていた。
近づいてくる足音に気づき、チラリと扉の方を振り返ると、刑事たちに続いてコナンが入っていくのが見えた。

フッと微笑み、コナンの後を追う。

佐藤、高木『失礼します』

コナンたちが医務室に入ると、部屋の奥のデスクに向かっていた医師が振り返った。

医師『どうぞこちらへ』

佐藤『先程お話した通り、彼女の身柄は我々警察が保護させていただきます』

佐藤は医師に促されて隣の椅子に座った。

その後ろに高木とコナンが立つ。

医師『それは構いませんが、これから彼女が搬送される警察病院の方に伝えていただきたいことがありまして』

佐藤『何でしょう？』

佐藤が訊ねると、医師は指し棒を伸ばし、壁の発行板に差し込まれた脳のレントゲン写真を指した。

医師『記憶を失っているのは頭部への強い衝撃が原因と見て、まず間違いないんですが、それよりも脳弓の部分に大変珍しい損傷が見つかりまして…
丁度この部分です』

佐藤『昨夜の事故の怪我とかではなく？』

佐藤の言葉に、コナンは目を見張った。

女が大規模な停電を起こした首都高の事故と関係があると、警察も睨んでいるのかー。

医師『ええ。これは恐らく生まれつきのものだと…』

高木『今回の発作と関係は？』

高木の質問に、医師は首を横に振った。

医師『日常生活に支障のある部分ではないので関係ないと思いますが…』

医師の説明を聞いたコナンは俯いて考え込んだ。

その背後で扉の隙間から様子を伺う人物がいた。

ベルモットだ。

佐藤『分かりました。伝えさせていただきます。ではー』

佐藤が立ち上がろうとすると、医師が「あ、待ってください」と止めた。

医師『それと、もう一つ。検査の時に分かったんですが、彼女の右目にこれが…』

そう言って、デスクに置かれたステンレスのトレイを見せる。

トレイには黒いコンタクトレンズのようなものが乗っていた。

高木『何ですか、これは』

佐藤『カラコンみたいだけど…』

医師『ええ、黒い瞳に見せる為のカラーコンタクトレンズですね。
まあ、これに関しては記憶喪失や発作とは全く関係がない事なんですが、念の為にお伝えさせていただきました』

佐藤『ご協力ありがとうございます』

礼を言う佐藤のそばで、コナンはデスクに置かれたトレイを見つめた。