109話 ページ13
｢……でも、あの、久しぶりにおやすみのキスされたからちょっと嬉しかったわ。ありがとう。おやすみ｣
そう言って私も2人のほっぺにキスをして部屋に戻った。
さ、アタシはヨガでもしようかしら。
ヨガマットの上に座って体を伸ばせばダッドがソファに座って｢ヴィルももう18歳だもんね｣と口を開いた。
｢？、急にどうしたの？｣
｢いやぁ……僕の中ではまだまだダッドと呼んで泣いていた幼いヴィルのままだったから、忘れていたなと思ってね。そりゃあガールフレンドくらい連れてくるよね。ヴィルのこと妖精のように可愛いとは思っていたけどまさか本物の妖精を連れてくるとは……｣
｢ちょっとダッド！？なにか勘違いしてるわ！｣
ヨガしてる場合じゃない。
ガールフレンド？！いきなり何を言ってるの！？
｢クラスメイトと言ったでしょう！？｣
｢でもヴィルはどれだけ仲良いと言っていても家まで連れてきたことは無かったよ？ルークくんとかエペルくんとか話には聞くけど1度も会ったことがない。それなのに今年クラスメイトになったあの子は連れてきた。しかも女の子……気があるんだろう？大丈夫、ダッドは誰が相手でも応援するから｣
｢……ダッド、本当に違うの。あの子は……ただ、危なっかしくて目が離せないだけよ｣
｢おやすみのキスまでしてしまうのにかい？｣
くすくす笑ってワインを飲むダッドは完全にアタシをからかっている時の顔をしてる。
｢いいんだよ、ヴィル。芸能人だって恋していいんだ。君が見初めた人なら大事にしなさい｣
｢…………大事にできてないように見える？｣
｢いいや、特別大事にしてるように見えるよ。僕の可愛いベイビー。君が幸せならそれでいいんだ｣
｢もう、やめて。アタシそんな歳じゃないんだから｣
昔からそう。ダッドは家を甘えられる場所にしてくれてる。ありがとう、1人じゃちょっとまだ不安だったの。
｢ねえ、ダッド。ダッドの目から見てAはどう思う？｣
｢素直でいい子だと思うよ。なによりヴィルのことを気遣ってくれてる、僕は気に入ったよ｣
｢そう｣
ヴィルのその嬉しそうな顔。昔から変わらないね。
少し照れたように俯いて、……それでも上がりきった口角を隠しきれていない。
本当にいじらしくて可愛い子だよ。君は。
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軽油の人(プロフ) - 深い水に足跡を。さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。これからもご愛読いただけるよう頑張ります！ (5月16日 8時) (
レス) id: cb73de7f61 (このIDを非表示/違反報告)
深い水に足跡を。(プロフ) - ストーリーもイラストも大好きでいつも読ませていただいてます。応援してます！ (5月15日 21時) (レス) @page5 id: 35bc9d7cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：軽油の人 | 作成日時：2023年5月15日 11時
