茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ10)

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57話ページ10

「リリア、知ってることは全部言って」

「よもやこんな愚行に走るとは……心が痛いのう……」

「何の話だ？」

マレウスも知らないようで2人の視線がリリアに集まる。リリアはため息をついて、「前に話したじゃろ」と話を始めた。

もともとAがレイペアを継ぐことに不満の声が多かった。それを無理に押さえ込んで今日までやってきたのだ。

少しでも隙があれば抑え込まれていたものは爆発して行動や結果になるだけの話。

「妖精と違って精霊は世界各地におる。レイペアの揚げ足を取るために精霊を使うものももちろんおる……Aが自身を男に保つこともできないくらい弱ったと知り動いたんじゃろう」

「その連中を止めることは出来ないの？」

「無理じゃな。わしやマレウスがなにかして止まるというのならわざわざAが男に化ける必要もなかった。おそらく奴らはAが茨の谷から追放されるまで動き続けるはず……」

「レイペアを茨の谷から追放？」

なぜか意外そうにマレウスが聞き返してくる。

「そうじゃ、あの子はもともと花や小鳥の好きなか弱い女の子じゃ。当主など荷が重すぎる。……それにレイペアは戦争の最中、たくさんの兵や敵を血の海へ沈めた…、仲間も見捨てることがあるほど冷酷な戦い方もした。追放を求める声は止められんじゃろうて」