茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ47)

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94話ページ47

｢ヴィルは無事かのう？この寒さ、人の子には辛いものがあるじゃろう｣

｢茨の谷へ来ているのか？｣

｢お主は知らんかったか……Aが招待したんじゃ。今頃レイペア領で過ごしておる｣

｢シェーンハイトが？……僕ですらレイペア領には行ったことがないのにか？｣

むす、としてマレウスが言い返してくる。

｢行けば良かろう。どこで張り合っておる｣

そもそも茨の谷はお主の国。どこへ行こうと咎めるものはおらん。

何をそんなに遠慮しておるのかワシにはわからんぞ。

｢昔、リリアが僕に言ったんだ。レイペア領へは近づくなと｣

｢それはお主が幼子の頃の話じゃろうて。レイペア領はもっとも人間の国に近い。お主が幼子の頃は戦争が落ち着いたばかりでいつまた人間が攻め入ってくるか分からなかったんじゃ。それ故に人間の国の近くへは行くなという意味で言うておっただけ……今なら行っても構わんぞ｣

その言葉にまた拗ねてしまう。

｢僕がいって歓迎などされるものか｣

｢はあ……なんて言って欲しいんじゃまったく……｣