茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ19)

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66話ページ19

「欲張る……」

レイペアの娘として、欲を見せたらいけないと母に再三言われた。友達も夢もなにもかも、私には遠い存在だった。

自由になれたら…、そう願ったこともある。

でも今は？リリアに家に縛られなくていいと言われて考えたけど、ここまで生き方を制限してきた私に縛られない生き方は考えつかなかった。

なんでも出来る……けど、なにもできない。

何もさせて貰えない時は何もしなくてよかった。

……この育ち方のせいで自分は「何も出来ない子」になってしまったようだ。

「そうだ！今度ルークを連れて買い物に行くの。アンタも一緒に来なさい」

「え？」

「どうせアンタのことだから欲しいものも分からないんでしょう？欲しいものがないというより、知らないことが多すぎて何が必要かも理解出来てないのよ。特別にアタシがアンタに世間一般の流行りを教えてあげる。光栄に思いなさい」

「ありがとう」

ヴィーが楽しそうなら私も嬉しい。荷物持ちくらいなら出来そうだしついて行こう。

その日までの予習だとヴィーからいくつものサイトが送られてきた。

こ、これを当日までに見るの？
トップスとか……アイテムとか……よくわからない単語ばかり……。

あれ？この写真……

「ねえ、これヴィー？」

「え？……ああそれね。そうよ。この新作、アタシが宣伝したの」

「すごい……ヴィーって世界の人が見る場所に載ってるんだ……」