茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ17)

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64話ページ17

「ヴィーは？なにかやりたいことがあるの？」

「もちろんあるわ！父のような俳優になることはもちろんだけど……ヒーローをね、やってみたいの」

「ヒーロー？」

「そう。映画って見たことある？」

「なにそれ？」

「……えっと、……そうねぇ。本には登場人物が沢山いるじゃない？それを人間が演じて1本の動画にしたものよ」

「そんなのがあるの！？……昔は写真でもすごい技術だったのに……いまは進化してるのね」

やっぱりこの子、そういう知識もからっきし。リリアがあれだけ博識なんだから少しくらい教えてあげればいいのに。

「その登場人物の中にはヒーローっていって、最後まで舞台に立っていられる役があるの。それになりたいわ。途中で倒される悪役じゃなくて、みんなに愛されるヒーロー……」

「……私にはその、映画のヒーローっていうのはよく分からないけど…………きっととても価値のあるものなのね。それになる方法は知らないけど、ヴィーならきっとなれる。絶対なるって意思があれば周りなんて黙らせることができるんだから」

「そう、よね。……アタシ、絶対なるわ」

アンタもそうやって当主を勝ち取ったのね。
誰になんと言われても自分の家は自分で守ると決めたから。……そんな人に…、自分の家を捨てろなんて言えるわけが無い。
……覚悟が違うもの。