茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ16)

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63話ページ16

「じゃ、してみたいことは？」

「……特にない」

「え？じゃあ将来の夢は？」

「将来も何もいまレイペア当主として生きてることが私の生涯の責務だから……」

「なるほどね」

マレウス、リリア。多分これ無理よ。
だってアタシわかるもの。……わかるっていうのは失礼かもしれない。けど、「わかる」の。

ヴィル・シェーンハイトとして、俳優として、モデルとして、エリック・ヴェニューの息子として18年間生きてきた。

何百年も生きているリリアたちからしたら
たった18年でしょう。
でも、それでも、捨てられない。

アタシは仕事に誇りを持っているし、ヴィル・シェーンハイトであることが自身の人生の居場所だと思ってる。

……もし命を狙われても俳優やモデルを辞められないように、この子だってA・レイペアをやめられないでしょう。
300年も存在した自分を消してしまいたくないから。

居場所ってそういうものよ。

誰かに奪われるなんてあってはいけない不可侵の場所なの。たとえ自分が操り人形になったとしても絶対に譲れない。