茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ15)

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62話ページ15

翌日の朝、Aが来たタイミングで切り出してみる。

「アンタって、なにか得意なことないの？」と。

Aは数度瞬きをしたあと困ったように頬をかいた。

「急になに？」

「別に。クラスメイトなんだからこういう話しちゃいけない？」

「いや……いいけど……。そう、だな……得意なこと……」

幼い頃は母に習って刺繍やダンスが得意だった。でもお父様が亡くなって当主になってからドレスは全部燃やしたし、裁縫道具も気づいたら無くしていた。

……それからは魔導ボーガンを極めたり、戦闘狂みたいになっていたから戦うのは得意だったな……。

しかし、それも身体機能と魔力の著しい低下によって維持できなくなってしまった。

そこまで考えて気づく。

私が生きてきた300年で手元に残ったものは……何一つないのだと。

「A？」

「あ、えっと、得意なことはない。……特に……何も出来ない」

リリアのように世界各国の知識もないし、世界屈指の戦闘力も残ってない。……ゲームだって私は苦手だし…楽器もハープくらいしか弾けないわ。

そもそも部活にも所属していないし……