茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ2)

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49話ページ2

「リリアは嘘つきじゃない」

「……ほんとう？」

「ええ、ほんとう」

その言葉にホッと胸を撫で下ろす。
300年も一緒にいて、親代わりのように慕っているリリアに裏切られたらAはきっと生きていけないのよね。

「今は性別に囚われることは無い。種族もかなり受け入れられてきたから妖精だから、獣人だからと迫害に合うことも…こういう都心部ならないわね。でもね、その代わりに犠牲になった人がいるの」

「だれ？」

「政治家や芸能人、……いわゆる、テレビやネット、雑誌に乗ってる人たちよ。人前に自分を晒してお金を稼ぐ仕事をしてるから、みんなは潜在的にこう思うの。「自分から人前に立つんだから、ちょっとくらい自分たち発信で載せても大丈夫だろう」ってね。本当はダメよ。ダメなんだけど……それを言うと、仕事が出来なくなるから言えないの」

「どうして仕事できなくなるの」

「アンタの時代と違って今は思ったことをすぐに世界へ発信できるでしょう？たとえばだけど誰かが「ヴィル・シェーンハイトは写真を撮っただけで怒った」と言えばアタシをよく思わない人や、そういう人の悪い部分が好きな人はこぞってアタシを批判する。写真ぐらいでなんだ。そんなに嫌なら芸能人をやめろってね。Aはまだ理解できなくても、それでいい。そういうものだって思って。アタシのために怒ってくれてありがとう、見てたわ。でももうやめてね。アンタも撮られたらまずいんだから」