茨の谷の反逆者 Ⅱ (ページ1)

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48話ページ1

「なにしかめっ面してるの？」

考え事をしていればヴィーにムギっとほっぺを挟まれる。

「みんな、写真撮るのやめないから、怖くて」

「…………そう、そうよね。アタシも最初は怖かったわ。どこまでもついてまわるからね。ごめんなさい、巻き込んだわ。次から大道具はどうにかするから。……怖い思いさせて悪かったわ」

「ち、ちがう、ヴィーにそんなこと言わせたいんじゃなくて……」

被害者が謝らなきゃいけないこの世の中なんて、そんな理不尽ないわ。

えっと、その、と俯けば「はっきり言いなさいと言ったはずよ」と笑われる。

「だって、変だから、……有名人は撮られて当たり前ってのがよくわからないの、リリアは言ってた。今の時代は性別にも囚われず、個人として尊重されるんだって。……でも、されてないように見える。有名人なら何されてもいいって言い方だった、それは、私が今まで生きてきた環境と同じ！女なら男に従うべきとか、妖精は人間に支配されるべきとか……それと一緒、何も変わってない！……世界は変わったんでしょ……？リリアが嘘を言ったわけじゃないよね？」

どこまでも純粋に生きてきたのね、この子は。