120話 ページ25
「みんなを失ったらどうしよう、俺自身も石になったらどうしよう。…去年、大いなる厄災の襲撃が終わったあと…南の魔法使いの…娘さんが来て自分の父が石になったと知って泣きながら帰って行ったでしょう？」
「…そうだな」
「それを見たら領地にいる両親のことも考えてしまったんだ。…情けないよ、自分自身が。どうしようなんて言っていられる立場じゃない。みんなを守る責任がある、石になってでも助けるんだって思わなきゃ、いけないのに、目の前の親友や友達の方が大事で、俺、どうしてここに呼ばれたんだろうって、もっと強くて責任感があって…、ちゃんと役目を全うできる魔法使いが居るのに…なんで俺なんかが役目を任されたんだ…」
綺麗な瞳から涙がボロボロと落ちる。
そうだよな。うん、その気持ち、間違ってない。
「大丈夫だ、ヒース」
震える体を強く抱き締めて何度も大丈夫と囁く。
「…ヒース、お前は強い。だからそんなに自分を卑下しなくていい」
「強くないよ…っ、カイン、そんな、慰めの言葉、俺いらないから」
「強いって言ってんだ。だってお前はそれだけ悩んでも、苦しんでも、ここに居るじゃないか」
「え？」
「…昔、居たんだ。ヒースのように苦しんで悩んでた魔法使いが。そいつはつらいって、くるしいって、そう言って身を投げたよ。地面には石が散らばってた。こわい苦しいつらい。そう思っても立ち向かおうとしてるヒースが強くなくて誰が強いんだ。顔も知らない人のために知ってるヤツらが犠牲になる心底怖いよな、ごめんヒース。もっと俺らが最年少のお前のことを気にかけてやるべきだった。こんなにつらいのに、生きててくれてありがとう。話してくれてありがとう。シノもクロエもヒースも、みんな俺たち大人が守ってやる、絶対石にもならない。だから、世界に絶望しないで欲しい」
「カイン…」
その後のことはよく覚えていない。
堰を切ったように泣いて疲れて眠ってしまったようだ。
厄災が終わってからずっと不安で仕方なかったから。
ようやくゆっくり眠れたとおもう。
長い夢から覚めたような感覚。懐かしい夢を見た気がする。
「っ！シノ！！シノはどこ！？」
目が覚めて一気に色んなことを思い出す。そうだ、シノ、私を助けて倒れたシノは、無事なの！？
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灯油マン(プロフ) - るゆさん» ありがとうございます！早起きですね！4もありますよ！ (2021年12月5日 8時) (
レス) @page50 id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
るゆ - 3終わりましたね……めっちゃやばかったです、過去編が楽しみすぎる。4が出るのを楽しみに待ってます！ (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: 360678e429 (このIDを非表示/違反報告)
灯油マン(プロフ) - るゆさん» ありがとうございます！面白いと思い続けて貰えるように頑張ります！！ (2021年11月30日 12時) (レス) id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
るゆ - 灯油マンさん» いえいえ！こちらこそ、語彙力がないので上手く感想を口にすることが出来ないんですけど、読んだら感想を言いたくなるお話なので… (2021年11月30日 5時) (レス) id: 360678e429 (このIDを非表示/違反報告)
灯油マン(プロフ) - るゆさん» お久しぶりです！！ありがとうございます。わたしもなかなか更新できてませんでしたので！いつも本当にありがとうございます。 (2021年11月29日 9時) (レス) @page2 id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯油マン | 作成日時：2021年8月1日 11時
