137話 ページ42
2時間ほど歩いたところでぐーーっとリケのお腹が鳴る。その音を聞いてムル様も「お腹空いた」と座り込んだ。
「じゃ、朝ごはんにしよっか」
夜明けから何も食べずに歩いていたからいつもよりご飯が美味しいはず。保存容器からホットサンドを出して木陰の岩に腰掛けた。
「いつ食べてもネロさんのご飯は美味しいわね」
「はい！僕もこういうの作れたらいいのに」
「ミチルも作れるようになるよ！」
ミチルは器用だし、なにより努力家だもの。
きっとすぐに上手くなるわ。
「あっねえ、ミチル。ひとつ聞いてもいい？」
「？、はい」
もぐっと大きいひと口を頬張ってミチルは頷く。
「ミチルから見て…いまのフィガロ先生はどう？」
「どう…？」
「あ、あの、元気なさそうに見えるわよね？」
「…そうですね」
何度か咀嚼をしてごくんっと飲み込む。
言葉を探すようにしながらゆっくり口を開いた。
「フィガロ先生は聞いても教えてくれません」
「えっ？」
「どうしたんですか、元気ないですよって言ってもそんなことないとか子供が気にしなくていいって、笑って誤魔化すんです！それでいつの間にか本当に何でもなくなってて…何があったんですかって聞いても、そんな前のこと忘れちゃったよって言います！」
「え、ええ…？そうなの？」
「そうです！だからっ、僕たちがどれだけ心配してもフィガロ先生は逃げちゃいます！」
「じゃあどうしたら…？」
「前にレノさんに相談したら…」
フィガロ様は照れ屋さんなので上手く自分のことを言えません。でも何も出来ないわけじゃないです。…ミチルやルチル、ほかの魔法使い、みんなが笑っていればフィガロ様は笑顔になります。だからミチルは…いつもと変わらず笑顔で挨拶したらいいと思います。
そう言っていた。
いつもの自分を崩さず、気づいていながらも気づいてないふりをしてあげる。
それでフィガロ先生は元気になるって。
得意げに語るミチルをみて首を傾げる。
「それだけでいいの？」
「はいっ！フィガロ先生は笑顔には笑顔で返してくれます！」
そういうもの…なのかしら。
ちら、とフィガロ先生の方を見れば目が合う。
試しにニコッと笑ってみればぎこちない笑顔を返してくれた。
なんだか…ちがうの。
こういう事じゃないのだけど…。
上手く言葉にできないこの気持ち、何なのかしら。
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灯油マン(プロフ) - るゆさん» ありがとうございます！早起きですね！4もありますよ！ (2021年12月5日 8時) (
レス) @page50 id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
るゆ - 3終わりましたね……めっちゃやばかったです、過去編が楽しみすぎる。4が出るのを楽しみに待ってます！ (2021年12月5日 7時) (レス) @page50 id: 360678e429 (このIDを非表示/違反報告)
灯油マン(プロフ) - るゆさん» ありがとうございます！面白いと思い続けて貰えるように頑張ります！！ (2021年11月30日 12時) (レス) id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
るゆ - 灯油マンさん» いえいえ！こちらこそ、語彙力がないので上手く感想を口にすることが出来ないんですけど、読んだら感想を言いたくなるお話なので… (2021年11月30日 5時) (レス) id: 360678e429 (このIDを非表示/違反報告)
灯油マン(プロフ) - るゆさん» お久しぶりです！！ありがとうございます。わたしもなかなか更新できてませんでしたので！いつも本当にありがとうございます。 (2021年11月29日 9時) (レス) @page2 id: 3428c02407 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯油マン | 作成日時：2021年8月1日 11時
