21人目の魔法使い〜フィガロルート〜 (ページ9)

今日:18 hit、昨日:10 hit、合計:3,414 hit

9 ページ9

「私はA……、イザベラ・クルフォスターの娘です……あ、今は王妃だからクルフォスターでは無いですけど」

「イザベラ様の娘様！？こんな辺境までどうなさったの？」

「クルフォスター公爵家へ行こうと思っていたんですけど、道に迷ってしまったんです。アイシャ様、よければ御屋敷まで案内してもらえませんか？」

「はい、承りました。ミランダさんまた今度お話聞かせてね。こちらです、A様」

父から徹底的に教えこまれていた。イザベラ様がどれだけすごい方か。あの方のご息女とあらば1ミリの失礼もあってはいけない。

丁重に屋敷まで送り届けた後、お父様は憤慨した様子で王宮へ向かい帰ってくるなりA様を養女にしたと言い出した。

なにがあったのかは知らないけど、お父様の決定に従うまで。

「A様、何か困ったことがございましたら、クルフォスターを頼ってください」

「はい、ありがとうございます！」

A様が帰ったあと、父から話を聞いた。国王がイザベラ様を手にかけたらしい。今の国王は本当にそこの知れない男だこと。

２日後、魔法舎に帰ってきたAは戸籍を持って俺の元へ来た。

「フィガロ先生！お姫様やめてきました！」

思わず飲んでいたコーヒーを吹き出して戸籍を凝視する。

……俺は見誤っていたかもしれない。西の魔法使いの執着心を。