21人目の魔法使い〜フィガロルート〜 (ページ6)

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「……じゃあ、この魔法舎でフィガロ先生の過去を知ってる人は一人もいないんですか？」

「まあ、それは居るけど……」

双子先生とか、オズとか……ファウストもだいたい知ってるかな。あとは北の魔法使いの奴らなら知ってるだろう。

「その方は先生を避けますか？」

「……普通に接してくれるよ」

「私だって同じです！これから先、先生の過去を知ることがあっても変わらず接します。誠意を見せろとおっしゃるなら約束する覚悟もありますから！！！」

「約束なんて軽々しくしちゃいけない。ムルは教えてくれなかった？」

「教えてくださいました。だからです、私なりの誠意としてフィガロ先生に命を預けれます」

曇ない真っ直ぐな瞳は、幼い時のオズのようで苦しくなる。その赤い瞳で俺を見ないでくれ。
自分自身の弱さを感じて嫌になる。

「ひとつ聞くけど、なんで俺にそんなにしようと思うの？」

「フィガロ先生が好きだからです」

「そっか。うん、でもダメだよ」

「どうしてですか？」

「だって君は、お姫様だから。……こんな町医者に構ってちゃいけない。国を乗っ取る計画を立てた方が有意義だよ、おやすみ」

これ以上話していると俺が負けてしまいそうでそそくさと部屋を後にした。これくらい言えばいいでしょ。
あの子がお姫様なのは一生変わらないことなんだ。