21人目の魔法使い〜フィガロルート〜 (ページ2)

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俺を長生きさせたいとかいう馬鹿げた考えもなかったことになるんじゃない？

そうしたら俺は……誰にも止められず静かに眠れるんだ。

あのあと、オズはすぐに退室し1人になった部屋でA
を見下ろした。

オズのやつ、なにか置いていったと思えば希少な魔石じゃないか。

こんなもので目を覚まされたら困る。

さっさと退けようとベッドに乗っかって手を伸ばした時、ぱちりと赤い瞳が俺を見つめた。

「せん、せい？」

「……」

なんてタイミングの悪い。これじゃあ10代の女の子の寝込みを襲ったヤバい人だ。

オズの持ってくるものなんて大抵が効果ないのに、こんな時だけ発揮するなんて最悪だな。

つとめてニコリと微笑んでなんでもないかのように口を開く。

「君から俺の記憶を奪うか、君を10年眠らせるか考えてたんだ」

「どうしてですか？」

「俺はね、この世に未練なんてない。でもAは俺を覚えてる限り、どうにかして生きさせようとするでしょ？……だからそうした方が楽だと思って」