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幸い私の怪我は浅く、家に帰って包帯を巻けば大したことなさそうだった。
アトラは心配してお料理手伝ってくれてお母さん嬉しかったな。
｢お父さんって強かったんだね｣
｢あ？今更かよ｣
お前誰に魔法教わってんだ？
そんなのも分からず教わってたのか。先行きが不安すぎるんだが。
｢大きくなったら僕の方が強くなるけど、いまはお父さんの方が強いから……僕が大人になるまでお母さんのことは預けといてあげる｣
｢何言ってんだ｣
Aは俺の嫁だっての。
｢アトラはお父さん嫌なの？｣
｢嫌じゃないけど……僕もお母さんとずっといっしょにいたいもん｣
｢居たらいいじゃない。何年でも。アトラは私たちの子供なんだから｣
｢でも、大人になったらここを出ていかなきゃいけないんでしょ？｣
｢誰がそんなこと言ったの？｣
｢絵本の中の人はみんな大きくなったら結婚して家を出てくから……だから、お母さんと結婚したら僕ここにいていいよね？｣
その言葉に思わず笑ってしまった。
｢大人になってもお母さんと結婚しなくてもアトラはここに居ていいんだよ｣
｢ほんと？｣
｢ね？ブラッドリーさん｣
｢……当たり前だろ、お前みたいなちんちくりん、世に出す方が怖ぇ｣
言い方はあれだけどアトラのこと大好きだもんね？
出ていかなくていいと知ったアトラはホッとしたように胸をなでおろして私によりかかってきた。
｢じゃあ、お母さんのことはお父さんに任せよっかな｣
ちょっとおませさんな貴方が世界でいちばん可愛いよ。
お姫様として生きていくことは無かったけど、私は今が本当に幸せ。ありがとう、ブラッドリーさん。アトラ。
……大好き。
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作者名：灯油マン | 作成日時：2023年7月30日 1時
