21人目の魔法使い〜ブラッドリールート〜 (ページ17)

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震えるアトラを抱きしめて逃走経路は無いか探してみるが、どこにもない。

下に降りようにもオオツメグマに近づくことになるし、山に登ってもどのみち下山する時にここに戻ってくることになる。

一か八かにかけるなら、オオツメグマの真横を走るしかないけど……。

ちらとアトラを見て抱き抱える。迷ってる場合じゃない。
やってみなきゃ。私は母親よ。

みすみすこの子を石にするわけにいかない。

｢アトラ、しっかり掴まってて｣

｢お母さん？｣

魔獣が少しよそ見をした隙に横を走り抜ける。だが、爪のリーチが長すぎて足首を掠めてしまった。

短く悲鳴をあげて雪の中にアトラと倒れ込む。

｢……アトラ、貴方だけでも逃げて。幸いオオツメグマより下にいけたから。ここはお母さんがなんとかする。貴方は家に戻って｣

きっと私はここで死ぬと思う。
でもアトラさえ生きていてくれたらそれでいいの。

｢お母さんはあれ倒せるの？｣

｢お母さん強いんだから、大丈夫｣

だから早くと背中を押すがアトラは動こうとしない。何してるの。早くしないと魔獣が襲ってくる。