21人目の魔法使い〜ブラッドリールート〜 (ページ13)

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10年後の北の国。

人里から離れた場所に建つ家に私は住んでいた。

｢それで、その時にね銃弾をくれたのよ｣

｢え？その指輪じゃないの？｣

｢ちがうよ、銃弾をもらったの｣

｢銃弾？？｣

全く意味がわからないというように息子のアトラは私を見てくる。

この子は7年前に生まれたブラッドリーさんとの子供。

母親思いの優しい子だ。

いまは私たちの馴れ初めを聞いてきたから、魔法舎で過ごした最後の日の話をしていた。

これやるよ、と手渡してきた銃弾は希少な金属で作られた精巧なものでブラッドリーさんが毎日手入れしていたのか年数が経っているのにピカピカで、こんな大切なもの本当に貰っていいのかわからなかったくらい。

｢それでここで暮らし始めて……1年くらいかな？この指輪を貰って……その次の年に貴方がお母さんのお腹に来てくれたの｣

｢ふぅん……お母さんはお父さんと結婚して｣

そこまでアトラが言いかけた時、玄関のドアが開いてブラッドリーさんが帰ってきた。

家の外で雪を払って入ってくる。

その姿をアトラはただ無言で見ていた。