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今年の厄災は大したこと無かった。
Aが役目を果たしてくれたのだろう。
玄関で砂埃を払っていればフィガロが駆けつけてきた。
「オズ!!今戻ったのか!」
「…ああ」
「すぐに来てくれ、アーサーが危篤だ」
「……は?」
危篤…?危篤とはなんだ?
死にかけという意味か?
……アーサーが?
どういうことだ説明しろ、とフィガロに掴みかかれば「説明するから着いてこいって言ってるんだ!」と怒鳴られた。
鳴り止まぬ心臓の音を聴きながらフィガロの部屋へ行けば今にも魔力が消えてしまいそうなアーサーが横たわっていた。
「厄災の攻撃を無防備状態で受けたらしい」
「アーサー…」
吐きそうだ。
このまま、助からなかったら…?
私より先に石になるなんて許さないぞ。
「治るんだろうな?」
「…無理だね」
何が無理だ。ふざけるな。
がっとフィガロの胸ぐらを掴んで前後に揺らし
「どうにかしろ!!」
と叫んだ。お前は医者だろ。治すのが仕事だ。
…無理だなんて言うんじゃない。
「手は尽くしたけどもって2日かな。早いと今夜にはもう…」
「……、……北の国へ行く。それまで必ず持たせろ」
「どうするつもりだ?」
「ユニコーンを狩ってくる、あいつらの血を飲めばどんな傷もいえると聞いた」
「厄災の傷は無理だ!!」
オズ!!と呼ぶが、彼は振り返らずに出ていった。
最後になるかもしれないんだからそばに居てやれよ、バカオズ。
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作者名:灯油マン | 作成日時:2023年7月30日 1時