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「美味しそうな酒飲んでるね、俺にもちょうだい」
「フィガロ…」
オズの手に持ったグラスを奪い取って飲めば無言で見つめたあともうひとつグラスを出して自分の分を継いでいた。おや珍しい。俺がお前のグラスで酒飲んだのに怒らないんだ。
「今日Aに自分のことが好きなのかと聞かれた。…見ていたから知っていると思うが」
「やっぱりバレてた?」
「…ああ」
咎めないあたり覗かれたことは気にしていないのだろう。
もう一口酒を飲んでからオズは言葉を続けた。
「なあフィガロ。そばに置いておきたいは、好き…なのだろうか?」
「そうなんじゃない?嫌いな奴そばに置きたい人なんかいないでしょ?」
「そうか」
いや不器用すぎるでしょ。
その気持ちまで分からないんだ?
アーサーのこと好きなのと一緒でしょ?
「好きならさ、男の方からアプローチしなよ」
「あぷろーち?」
「やっぱり、あれでしょ?好きな子にあげるものって言ったら!すっごくもらって嬉しいもの」
「なんだそれは」
「考えろよそれくらい自分で。…Aはそれ貰ったらお前の気持ちわかると思うよ。そしたら返事を聞けば完璧。がんばれ、応援しといてあげる。俺優しいから」
そう言ってフィガロはこれ授業料ねと酒瓶をひとつ持って出ていった。もらって嬉しいアレ?とは?
ふむ、と考えて夜を明かした。
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作者名:灯油マン | 作成日時:2023年7月30日 1時