木村良平の妹ですが何か？【Kiramune】

episode３１_廓然大公 ページ36

ん…なんだろう


あたし今ものすごく不吉な音がした気がするんだけど←


そう…ドアを開ける音がした気がするんだけど…！


無理無理無理……嫌な予感しかしない…








良「A…調子は？」








あぁぁぁぁ…もーやだ！





「べ、別に心配とか必要ないから！
さっさと部屋から出てって！」





入「そうじゃないでしょ」

江「本当に言いたいこと」



「うっ…」




なんなのこの2人…




そんなこと言われたら…

もうやるしかないじゃん…





「ご、ご……ごめん」



良「は…？」



小さく掠れるような声でも
兄には届いていたようだ

なんのことだか全く理解してない様子だが




「あ、あたし…本当は…嫌いになんてなってない」




良「え？何のこと？」






「お…おおおお“お兄ちゃん”のこと」




「「「お、お兄ちゃん！？」」」





なんか3人とも固まってるよ…


あたしってやっぱそーゆーキャラじゃないのか



でも！昔はお兄ちゃんって呼んでたし…
(…6歳くらいまでは)





「えっと…その…お兄ちゃんのこと、
本当は嫌いなんかじゃないし！
む、寧ろその逆で…
感謝してるとか尊敬してるみたいな…
だから…それで…えっと、
今までの態度とか…」




我ながらこんなこと言うのは恥ずかしい

あたしの顔は紅潮してるにちがいない


それに、言葉が上手く紡げない


今、あたしの脳内は、
自分の言動に対しての困惑や羞恥…
そして兄の反応に対する不安でいっぱいいっぱいだ





そのとき、不意に頭部に違和感を感じた



優しく、柔らかく、温かく、心地良い

どこか懐かしいような感触






それは兄の手だった


あたしの手よりも勿論大きくて、
ペンだこでぼこぼこなあたしの手と違って綺麗な手



昔もこうやって、
撫でてもらった記憶がある




兄に目を向けると、
小さく微笑みを浮かべるだけで、


何も言葉にしなかった

episode３２_一団和気→←episode３０_二者択一

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す