木村良平の妹ですが何か？【Kiramune】

episode２９_旧態依然 ページ34

「昔は…仲良かったです…



…兄妹とは思えないくらいに」



それは鮮明に覚えている

近くの公園で、
当時すでに大きかった兄と
日が沈むまで遊んでいた記憶


勉強や仕事も大変で、
友達ともたくさん遊びたかっただろう

それでも兄は、
あたしにとことん付き合ってくれた



「だけど…あたしがまだ小学生のとき、兄が1人暮らし始めて…」



そのときは…なんだか、裏切られた気分になった


ずっとそばにいてくれた兄が、
家を出て行くという喪失感


こんなひねくれた性格のため、
あたしには今のように
仲の良い友達はいなかった

それ故に兄が実家を出ることは
幼いあたしにとって
相当ショックな出来事だっただろう



兄が暮らし始めたのは、
勿論今の兄の家よりは遠いところだが、
それでも兄は度々この家に帰ってきていた




「兄は声優としても成長していって、
何だか…すぐに会えるのに…
急に兄が遠くなった気がしたんです」



そんな兄と自分を重ねて、
何度も自分の存在の小ささを感じた
同時に兄の偉大さを知った


…最初の頃は、単なる仕返し


あたしのことをほったらかしにした兄に対しての



そんなことをしてる自分に嫌気がさした


だから兄と同等な存在になろうと、
漫画を描きはじめた


つまり、漫画家になるきっかけは、兄なのだ


木村良平という存在があってこそ、
漫画家としてのあたしがいる



漫画を描きはじめたことで、
あたしの世界は彩りを増した


みつばと仲良くなれたのも…兄のおかげ



本当は感謝してもしきれない




「だけど、兄の前では素直になれなくて、今もずっと…」









江「じゃあ、仲直りしましょうよ！」



入＆貴「「はぁっ！？」」

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