旋【短編】 (ページ6)

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「 A 」

『ジニオッパ』

「近くに寄ったからきちゃった」

『もう、仕事は？いいの？』

「早く終わらせたよ。大切な彼女が待ってるんだからね。」

そうして、トントン拍子に私はジニオッパの彼女になった。

何も、言うことがないくらいに幸せ。
喧嘩もせず、嫉妬もすることもなく、不安になることもなく。
まるで、これが大人の恋とでもいうような、
高そうなお店につれていってくれたり、プレゼントもよくくれて。

私は、幸せものだと思う。
なのにこの寂しさは、消えないどころか強くなってしまうんだろう。

ただ、ジニオッパと付き合ってからも、
カレとは連絡もなく、何も変化がなかった。
新しい彼女を作るわけでもなく。
それが1層、私を惨めにさせる。

いいの？本当に、私はジニオッパの彼女になっちゃうよ？

そう何度思ったことだろう。

それでも、私からは連絡をすることはできなかった。

『あっ、また負けたぁ』

「ふふ、かーわいい」

『オッパのばか』

「素直なところが、Aの可愛いところだよ」

そう、おでこにキスを落とされる。

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