○ モノグラム３ (ページ1)

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離れんといて１ページ1

ASIDE

ビックリした。

いっつも稽古つけてってどんだけ頼んでも、絶対本気で向かってきてくれない丸ちゃんに

初めて、手ぇあげられ……

A「……ん？」

待って、初めてとちゃうわ。

そういえばあったやん、前に１回だけ。

あれは確か、私が高校に入学した春のこと。

３つ離れてる丸ちゃんはそのちょっと前に高校卒業して、

やっと始末屋の仕事に本格的に仲間入りできるって浮かれてた。

丸『ふんふふ～ん♪』ｷｭｷｭｯ

A『丸ちゃん、それ何？』

丸『僕の武術をより一層磨いてくれる道具ちゃんたち♪』ﾑﾌ

A『ふ～～ん…』

丸『あっ、俺の名前GUM(ガム)に決まってん♪ええやろぉ？♪』

A『…ええねぇ。』

丸『Aもこれから俺がスーツでビシッ！とキメてる時はそう呼んでなぁ？♪』ﾑﾌ

A『…ぅん。』

大人になった今でこそ、年の差なんて何とも思わんけど

この頃学生やった私には、その時の丸ちゃんがすっごい大人に見えて

なんか、丸ちゃんを遠くに感じて

すごく寂しかった。

安『A、入学おめでと♪なんかあったらいつでも３年の教室来てや？？』ﾎﾟﾝ

錦『今日の入学式でもA狙っとるやついっぱいおったで？心配やわぁ。』

渋『あぁん？あかん、お前、高校行くな。』

A『なんでよっ(笑)大丈夫やって、章ちゃんも亮ちゃんも、たつ兄もおるし。』

錦『そういや、なんで大倉だけ一番歳近いのに兄ちゃん呼びなん？』

A『でかくて兄ちゃんっぽいから？』

錦『身長だけやん(笑)』

大『ちょっとー、聞こえてますよー』

安『帰り道も一緒やからずっと一緒やね♪』

A『ほんまや！私、制服でどっか行くの憧れててんっ』

A『章ちゃん章ちゃんっ寄り道しよっ！』

安『ぁー……』

安『…』ﾁﾗ

A『？』

安『…ごめんなぁ？放課後は帰ったらすぐ、長瀬くんとこでトレーニングやから…』

A『ぇ……。じゃ、じゃあ亮ちゃんは？』

錦『俺もやわ、ごめんな？』

大『俺も。』

…なんや皆。

卒業したらすぐ8UPPERS入る言うて、高校生なってからそればっかり。

私のことは一切仲間に入れてくれへんくせに…

安『Aは家で待っててな？』

錦『俺らも丸みたいに、高校卒業したらすぐ仕事できるように鍛えてんねん。』

すぐ仕事、ねぇ…

この時、頭にとんでもない案が浮かんでもうた。