【血界戦線】宝石の彼女 (ページ21)

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宝石が十七粒ページ21

「逢いたかったヨ、僕らノ象徴(シンボル)_A…」

「コレが、俺タチの最高傑作…」

カラカラと車椅子に座って現れた、あの若い異界のモノ(ビヨンド)の声は慈愛と敬愛の目でAを見上げる。

車椅子を押す片腕の異界のモノ(ビヨンド)は、懐かしむ様にAを見つめる。

彼等の片目は空洞で、ポッカリとそこだけが異様に見えるほど真っ暗な穴だった。

彼等との再会に、Aは何故だか何も感じなかった。
まるで、今までの感情がゴッソリ誰かに盗まれた様に何も感じない。

Aは心臓部が異様に熱くなった事に驚き、手を胸に当てようとした＿＿＿。

「Aさん？」

世間一般では感動の再会と呼ばれるであろうソレに、彼女が何も言葉を言わない事に気付いたレオナルドが、心配そうに彼女の顔を見上げた。

顔が、身体が固まる。

するりと彼女の胸元から零れ、ゴロンと床に落ちた瓶の中に、二つの眼球が液体に浸かるように浮遊していた。

彼女は心を_魂を失ったのである

「アァ、俺タチの目ハこんな所ニあったノカ…」

「僕ガ入れたンダ、上出来だロウ？」

悠々と彼等は笑う。
それはまるで、親族が亡くなっても遺産にしか目が向いていない人間の様でもあった。

彼等の目には彼女の異変など映っていない。
まず、彼女が付喪神として動く事など知らないのだ。

「像」のままである彼女は、ライブラとの会話もする事
なく、そのまま彼等と共にライブラを後にした。