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｢わ、初めまして〜、どうぞ〜｣
初めての土地に迷いながらも、無事、新居となる"たっくんさん"のアパートに着いた。
本当、家に着く途中まで、"たっくん"という人は存在しなくて、母は騙されたんじゃないかと不安になるくらいには、道に迷ってしまった。
たっくんさん…存在した。よかった。
｢え〜！写真と全然変わんな〜い！カッコイイ〜！おじゃましま〜す♪｣
さっきまで、道に迷って超不機嫌だったとは思えない声に、ビックリしすぎて、母の顔を見あげてしまった。
『…おじゃまします』
先が思いやられる…と思いながら、私も母の後に家に入った。
｢"ただいま"でいいんだよ、今日から家に住んでくれるんでしょ？｣
｢え〜！嬉しい〜！ありがとう〜♡｣
聞いたこともない母の甘えた声に、胸焼けしてしまいそうだ。
たっくんさんは母の腰に手を回して、恐らくリビングへと誘導した。
まるで私は見えていないみたいだった。
｢そういえば、この子名前なんてーの？｣
｢あぁ…A、私がつけたんじゃないけどね、里子だから｣
実の母がつけてくれた大事な名前。今の母も気に入ってくれていたのに、言い方が鋭くて、チクリ、と胸が傷んだ。
｢え！まじ！？なんで捨てねーの？｣
たっくんさんの反応に、静かに絶望した。
私の肩身の狭い生活は、拍車をかけることになりそうだ。
｢別に連れてきても良いって言ったけどさ、自分の子じゃないなら返せばよくね？｣
すると、母が急に私に近づいて、バッと袖をめくられ、左腕の傷を晒した。
｢これのおかげで、普通の子より結構金貰えんの。それに"無個性"だし、もっと手当てしてほしいんだけどね〜｣
｢まじ！？欠陥まみれじゃん！ヤバ！それいくら貰えんの？｣
たっくんさんの、最初の穏やかさが嘘のようだ。これがこの人の本性。
母と惹かれ合うのが分かる気がした。
"欠陥まみれ"…か。
＿
静岡に住んで数日が経った。
私の予想通り、肩身の狭い日々を過ごしている。
里親手当が母に入ることを知ったからか、たっくんさんは、すぐバイトを辞め、二人とも働かずに過ごしている。
私はというと、母とたっくんさんが二人きりになれる為に、という理由で貰えた一人部屋に籠って、ぬいぐるみのモンちゃんを抱きしめながら、ダンボールで作った写真立ての、父とおばあちゃんの写真をただただ、見つめていた。
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野咲 春風(プロフ) - ささみさん» コメントから長く日にちが経ってしまって返信するのも申し訳ないのですが、凄く嬉しいです(TT)ありがとうございます！ (2022年4月6日 13時) (
レス) id: 2ac748f10c (このIDを非表示/違反報告)
ささみ - 簡単なコメントでごめんなさいですけど好きです！！頑張ってください！ (2021年9月19日 20時) (レス) id: 76759c51ff (このIDを非表示/違反報告)
野咲 春風(プロフ) - あまねさん» おコメントありがとうございます！うおおお…嬉しいです！嬉しすぎます！！ありがとうございます<(_ _)>もっと楽しんで頂けるよう更新頑張ります！ (2021年9月11日 9時) (レス) id: 2ac748f10c (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした！更新頑張ってください（ｹﾗｯ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
野咲 春風(プロフ) - かりめさん» おコメントありがとうございます！はめフラ凄い面白いですよね！早くはめフラのようなハーレムをおこせるように頑張ります！ うわあああ恐れ多いお言葉…！ありがとうございます！励みになります！！(TT) (2021年9月7日 18時) (レス) id: 2ac748f10c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：野咲 春風 | 作成日時：2021年8月26日 2時
