Trumpet vine ページ8
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ジョンハン兄さんの発言により、瞬く間に私の名が広がった。
流行りの中心には10代の学生…特に女の子に聴かれるているらしい。
そんな中私は自分の人気にあまりピンと来ていなかった。
実は歌手らしい活動はまだしていない。
話題になったのも実力では無く、ジョンハン兄さんである先輩の名を借りた様なものだし。
だからと言って、ジョンハン兄さんに感謝の気持ちがないわけでも無く、むしろ凄く感謝をしている。
ただ、私の理想の始動では無かった。
今の私は凄く複雑な…、口では説明出来ない心境にいた。
｢はぁ…。｣
自分の力だけで活動出来ないのは分かっているし、頼れるものには頼った方が良いのも分かってる。
でも…なんて言っちゃう私は、自惚れすぎるのだろうか。
自分の力を信じすぎているのだろうか。
｢どうしたの？｣
デビュー曲のMVで着れる衣装を持って来てくれたスタイリスト姉さん。
｢え？｣
｢ずっとため息吐いてるよ？｣
｢…あぁー。｣
この心境を誰かに話したら楽になるだろうか。
黙ったままで居ると、姉さんが先に話し出してくれた。
｢私もさ、スタイリストとして活動し始めた時色々悩んだな〜。
自分への期待も楽しみもあったけど、上手く行くのか？とか何処までスタイリストとしてやれるか？とか沢山悩んだ。｣
専門学校を卒業後、若手のスタイリストを見てくれる職場に配属されるも、自分より凄い人達を目にしては自分と比べ、凄腕の同僚を勝手に敵対視しては相手が自分を何とも思ってないことで落ち込んで…と、当時の感情の波が激しかったと話した。
｢でもね"誰かに近づこうとか"とか"この人より上に行こう"て必死になれば、いつの間にか自分が納得出来る所まで行けるよ。
まあ、Aの悩みはまた違うかもしれないけど。｣
鏡越しに私の顔を見ていた姉さんな優しい笑みに変わる。
｢とにかく私が言いたいのは、今の悩み事は今しか悩めないことなの。
だから、難しく考えずになるべく楽しく悩んでみない？｣
私の目の前に出された衣装を鏡越しで見る。
｢可愛い。｣と姉さんが言うと、気持ちが軽くなった。
姉さんは私の話を聞いてくれると感じて。
｢…誰かの名誉を借りるのはダメなことかな？｣
そう私が言うと姉さんは笑った。
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作者名：ゆうな
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年10月13日 15時
