【NCT】Flower【TY】-2- (ページ18)

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"いつものお店"は事務所の近くにある小さな居酒屋。

うちの事務所所属のタレントさん達の行きつけである。

しかもサインを強請られる事も無く写真を載せられることも無い。

我社が信頼しているお店です。

お店の扉を開け店員さんに会釈をする。

「奥の個室です。」

店員さんが私に気づき、兄さんが待っている部屋を教えてくれる。

個室の扉を開けると奥にいるホシ兄さんと目が合う。

「お！いらっしゃーい。」

少し出来上がっているホシ兄さんの隣にまだまだ勢いがあるクプス兄さん、その二人の前に顔が赤らめいたディノが座っていた。

「ディノ大丈夫？」

「大丈夫に見える？」

「全然見えない。」

そっとディノの隣に腰を下ろすと、目の前に座るクプス兄さんがメニューを差し出してくれた。

「何から飲む？」

「あ、じゃあ───。」

流れる様に店員さんを呼んで注文してくれるクプス兄さんは本当に大人だ。

「それじゃ、改めてカンパーイ！」

四人のグラスが音を立てる。

「今日は何の集まりで？」

私がそう尋ねると、ディノが呆れたように溜息を出す。

「Aさ、次のカムバに向けて忙しいみたいじゃん？兄さん達が心配して息抜きにって誘ったんだよ。」

「あ、私のため？」

「そう。」

「ホシ兄さん、クプス兄さん、ありがとう！」

「俺は？」

「ディノも。」

「ついでかよ〜。」

隣で机に項垂れだすディノを横目に、おつまみへと箸を伸ばす。

「ディノも心配してるんだよ。」

お酒を一口飲むと、そう言い出したクプス兄さん。

「ディノがですか？」

信じてない様な口調で言うと、兄さん達がクスリと笑う。

「ディノの同期ってAだけだからね。
ディノなりに気にしてるんだよ。」

「そうそう。それに、"Aも誘わない？"って聞いてきたのはディノだからね。」

いつの間にか寝ているたディノの顔を見ながら思う。

いつもは口喧嘩に近い言い合いをする仲だけど、お互い信頼しているのが改めて分かり頬が緩む。

「ありがとう、ディノ。」

小さい声でそう言うと、ディノは小さく唸った。

「さて、まだまだ飲みますよー！」

作業の息抜きと失恋を忘れる為、その日はいつもより多く飲んでしまった。

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