Master Doll 【BTS】完 (ページ46)

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ここはどこ？

真っ暗で何も見えない。

手と脚が痛い。

〝痛い〟？

私は人形で痛みなんか感じないはずなのに。

なんで？

『マス…タァー？』

掠れた声でジョングクを呼ぶも、小さな暗い部屋に響くのは自分の声だけ。

『ここはどこですか？』

誰も返してくれない。

《なぜ泣いている》

『え？』

どこからとも無く指した声に、頬に通った暖かい雫を手の甲でふきとるU。

『これが…なみだ？』

以前は涙の代わりに小さなダイヤが落ちていたが、今は確かに雫だった。

《お前も人間になっているんだな》

『…？(どこか懐かしい声…)』

『っ！パパ！？パパですよね？』

真っ暗な中、手探りで地べたを這いずるU。

《立派に育ったものだ》

暗闇にひとつまたひとつと小さな光が集まり、いつしか光の塊は人形になった。

《Uよ。お前は自分自身で気づいてないのだろう》

『何がです？』

《お主の願いだ》

願いなど人形にあるはずが無い。

誰かの物となり、その人が生を終わらすまでそばに付き添うのが人形。

『私に願いなど…』

《あるんだよ。お主には最初で最後の大きな願い》

『大きな、願い…？』

首を傾げると、いつも鳴るはずの〝音〟が鳴らない。

不思議に思い自分の首に触れるU。

『っ！あ、れ？』

異変に気づいたU。

《神をどうか！Uの重りを解いてくだされ》

『パパっ！』

《もう良いんだ。私の願いはもう叶った。
本当の娘にはなれなかったが、私に温もりをありがとう》

『パパ！私はっ！私はまだ…！』

優しく微笑むUを作り上げた第一の主。

『私は…まだ、死にたくない…』

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