Anemone ページ48
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「電話もしたいです。」
思っていた言葉がそのまま口から出た。
驚くテヨンさんの顔。
「ダメ、ですよね…！」
一瞬にして感情の浮き沈みが激しくなる。
いきなり近づいて迷惑をかけてしまったと思いながらも、もしそうだと言われたらきっと心は砕け散るだろうなとか、自分でも何故ここまで不安定になるなのかが分からない。
テヨンさんの言うさっきの"好き"は私が作る曲の事で私自身じゃない。
だからこんな自分勝手な思いを押し付けたくない。
ダメだ、自分の考えのせいで泣きそうになる。
徐々に目線が下がっていつの間にか俯いていた視界にテヨンさんの足が入ってくる。
「いいよ。」
頭上から聞こえた声に顔を上げる。
「同じこと思ってた。」
顔を上げると、今にも溶けそうなくらいの笑顔のテヨンさんがそこには立っていた。
「実は話したいことが沢山あるんだ。
でも仕事が終わるのは夜遅いし、そんな時間に長文を送るのは迷惑だて思ってて、ずっと話せなかったんだ。
だからそうい言ってくれて嬉しい。」
私の手を暖かい手が包んでくれた。
「ありがとうございます。」
嬉しさのあまり涙がポロリと落ちる。
それを見たテヨンさんが慌ててグッと近寄ってくる。
初めての距離に私だけが赤くなる。
「…何で泣くの？」
慌てるテヨンさんの指が涙を拭った。
「違うんです！これは、嬉し涙です。」
泣かせたのはテヨンさんじゃない事を伝えながら、テヨンさんの手を掴み私の頬から離す。
そして自分の手で涙を拭いた。
「嬉しくて…？」
「はい。嬉しくて。」
「ははっ、そっか。そうゆうことか。良かった。」
安心したように私を抱きしめるテヨンさん。
「て…テヨンさん!?」
私の声に自分が抱きしめてる事に気づいたテヨンさんが、慌てて離れていく。
「わっ、ごめん！」
徐々に顔が赤くなるテヨンさんが愛おしくなってクスリと笑う。
「大丈夫ですよ。むしろ、涙が引っ込んじゃいました！」
明るく言うと、テヨンさんも笑ってくれた。
「良かった。」
その日からほぼ毎日していたメッセージのやり取りに、時々電話をする様になった。
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作者名：ゆうなす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b115645c0f1/
作成日時：2022年9月29日 18時
